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成人式の振袖動向30年前から現代・未来

2018.09.01

みなさん、二十歳の振袖はどのような雰囲気の着物にしましたか?

一生のうちに着る機会がほとんどない未婚女性第一礼装の振袖。
もしかしたら成人式の時一回だけというひとも多いかもしれません。
そこで真奈武をご利用いただいた先輩方の振袖を選ぶポイントをまとめてみました。

1位 自分の好きな色と柄で決めた 50%
2位 友達と被らない色を参考にした 30%
3位 憧れの先輩を参考にした 10%
4位 母や父 祖父母 の意見を参考にした 10%
*こちらのデータは2018年・2017年利用のお客様を参考にしています

と言う結果になりました。

今の二十歳の子はお洒落に敏感なので、着物であっても自分の着たい色や柄を直感的に選んでいる感じですね。

現在は、古典柄からモダン柄 洋柄など様々な振袖がたくさんあります。

その中から式典に着ていく振袖を選ぶのは大変な事で迷ってしまう事も多々あるようですが、お母さんが良く言われるのが「私たちの時代はこんなにかわいい物が多くなかったから今の子は幸せだわ」です。

確かにママ振(ママの振袖を娘が着る)の子も増えてきています!
このころの振袖はとても良い仕立てなのですが、現在の物とくらべると配色の鮮やかさや柄の大きさが違います。
現代の振袖やママ振袖は仕立てやデザイン性が違うのでどちらも良いとは決めることはできません。
昔と今では、仕立てと言っても染め方や金糸の張り方、その時代の人気柄など違いがたくさんあるからです!

そこで今回は、30年前~現代・未来の振袖の柄などの動向を調べていきたいと思います。

今から30年前 1980年代年の振袖動向

このころは、振袖でデザイナーズブランドが出始めるなど、日本の呉服産業が大きく変わり始めた時代。

また、バブル期前半と後半とでは、振袖の柄や色が大きく変わっているのが特徴的でした。
そこで1980年代は前半と後半で分けて考察していきたいと思います。

1980年代の振袖動向(バブル期前半)

色は白・ピンク・水色などのパステル系が人気で、生地は華やかな光沢のある綸子織の物が主流。
髪飾りは羽・フェザー・チュールが流行り始め、メイクはピンクのアイシャドーを入れるなど、全体的にかわいい系のコーディネートが多かったです。

柄は、いわゆる”古典柄”で比較的小さめの柄をたくさん配しているものが人気でした。

1980年代の振袖動向(バブル期後半)

雑誌「anan」で着物の特集をするようになり、この時代の特集内容は”大正ロマン風”の振袖。
(大正時代に普段着として着ていた着物の事をこの時期は言いました)地味な色の着物でした。

それまでパステル調などかわいい感じの振袖が多かったのですが、雑誌で特集されてから黒や紺などかっこいい雰囲気の着物が増え、まるぐけの組みひもが出始め、「粋に着こなす」そんな言葉が出始めたのがこのころの動向でした。

また、呉服屋さんのディスプレイも今までのように一つ一つ合わせていくやり方ではなく、トータルコーディネートしたものをそのまま買っていただくブティック感覚(洋服感覚)に販売方法が変化していったのもこの時期からである事がわかりました。

今の時代も店舗スタッフが自身をもってコーディネートしたものをそのまま買っていただく手法が人気ですが、この時代からが始まりだったんですね。

ハウスマヌカン(店舗スタッフを商品モデルとして魅せる)という用語がでてきたこともあり、お店やメディアの影響力が二十歳の子にとても強い影響を与えた時代であったのだと思います。

20年前(1990年代)の振袖動向

薔薇や蝶など洋柄と和柄が合わさったいわゆるモダン柄が流行った時代。
メイクや雰囲気が安室奈美恵さんなど当時の人気歌手のような細眉毛傾向の女子が増えました。

振袖の柄は左半身と裾に柄が多く袂の柄が少ない、いわゆるシンプルなものが多いのが印象的で、おそらく、振袖購入後に訪問着にしやすいようにデザインされたのではないかと思います。
今まで古典柄がほとんどだった着物に洋柄を加えるなど、少し変わった柄行きをもとめる人が出てきたという事ですね。

少し経済が停滞気味の時代ですから、節約志向の消費者の為に振袖購入後の事も考えてご利用いただいていたのだと思います。

10年前(2000年代)の振袖動向

ギャル系雑誌「小悪魔ageha」が振袖特集を行いその影響が強く反映された時代。
ヘアーは盛髪、小物にファーやレース、パールなど洋服に使ってきた小物を振袖で使うなど個性派の物がたくさん出てきました。

振袖の系統も多種多様で、今までの古典であったり1990年に出たモダンであったりと自分が好きな系統の振袖やコーディネートを楽しむ事ができるようになりました。

筆者もこのころに成人式を迎えましたが、「自分の個性をいかした自分だけの振袖」というキャッチフレーズが出てきたのもこの頃からです。

ファッションに敏感な若者に振袖の良さを伝える事ができ、人それぞれ違った着姿をすることができました。
見ている方も参加している方もとても楽しい時の成人式だったと思います。

現代の振袖

今までの振袖柄を残しつつ、現代も個性的な物がたくさん出てきています。

洋柄志向の強さは顕在で大柄でポップな柄が多く、今までとは違い、全体に柄が大きく配されている総柄のような物も出てきてより個性的な柄が目立つようになりました。
さらにデザイナーズブランドが多く出始め、レトロモダン(戦前のアンティーク着物のデザインにそっくり似ている)柄も出てきています。

より個人の表現がしやすい趣味嗜好性が強いデザインのものが出ててきていると思います。

しかし古典の物も多く、技術製法があがり(昔では製法が難しかった)良い仕立ての物がたくさん出てきています。
色は白と赤が人気で、モチーフに椿の花が増えたのも現代の特徴です。

振袖の未来予想

派手なものや個性的なものなど、振袖デザインの変化が分かってきました。

「伝統は進化する」との言葉の通り、ずっと伝統柄のままではなくその時々の時代のニーズに応えて進化してきていると思います。
今後は、もっともっと個性的になものがでてくると予想されます。

もちろん、伝統柄は通常通り残るとして10年20年前のように時代背景の強い柄はなくなり、もっと自分をアピールできるような大胆な柄や小物、あるいは、振袖の概念を崩すようなデザインになってくるのではないかと思います。

今でもそのような振袖があるので未来予想としてご紹介いたします。

幾何学模様にポップが大柄のように【上品】【古典】というより個性的(自分だけの振袖の形)という説明しづらい柄がでてくるのではないかと思いました。

「一生に一度なんだから、伝統に左右されず自分の好きなものを身に着ける」そんな時代を予感させる柄となってくるのではないかと思います。
これはこれで楽しそうですね!

まとめ

30年前~現代・未来へとんで振袖動向を考察していきましたが、その時代のメーカーさんやメディアがその時代の流行らせたいものを作ってきているな、という印象でした。

今のお母さんが言う「今の子は良い」というのは、いろいろな時代の振袖が残っているので、その中から自分が好きなものを選べる…
そんな楽しさががるのが幸せと言っているのかもしれません。

しかし、今は何でもある(たくさんある)からその中から自分が似合うものがなにかわからない…。
そんな時代でもある思います。

私たちがお伝えする振袖選びに大事なのは、メーカーが提案する柄や色に左右されず、一生に一度の事なのだからもっと自分の個性を大事に、自分の着たい色や好きな柄など好きな物を着れば良いと思います。

今回30年前からの振袖動向を考察していき、まだまだいろいろなことが調べられると思いましたので、また第二弾をやりたいと思います。


書記 戸崎・大窪