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七五三の由来と2018年人気着物

2018.09.30

日本では11月に入ると、各地で小さいお子さんが着物を着る姿を神社や写真館等でよく目にします。
私も同年代の子を持つ親として七五三には大変興味があり、ついつい着物を着ている子を見ると自分達の子供にはどのような着物を着せようかウキウキしながら見ています。

早速ですが、なぜ日本で七五三と言う行事を行うようになったのかご存知でしょうか?

日本の伝統行事としてただただ「着物を着てお祈りしてかわいい写真を残そう」という思いだけが先行して、どうしてこのような行事が行うようになったのか知らないで終えた方も多いかと思います。

なぜ、七五三を行うのか?また、なぜ11月15日が七五三の日になったのか?
気になる七五三の由来について考察してきたいと思います。

七五三の起原

七五三とは7歳、5歳、3歳の子供の成長を祝う日本の年間行事で、神社等で報告、感謝、祈願を行う奉告祭です。

七五三の起源はと言うと、江戸時代の武家社会を中心に関東から全国へ広まったとされていますが、江戸時代の当時は乳幼児の死亡率が非常に高く、生後3年まで生きられる事が成長していくための試練でもありました。

ですので生後3~4年経過してからでないと、現在の戸籍登録にあたる、人別帳や氏子台帳に登録ができませんでした。

生まれてから3年たたないと戸籍登録ができなかったのですね・・・
今では考えられません。

ですので3歳の七五三が男女共に行うのは、本当にお子様の成長をお祝いして(生を授かった事に感謝して)着物を着てお祝いをしたのですね。

五歳で知恵づき、いろいろな物事や感情が芽生えてくる時期です。
(自分がこの世に存在する)と言うのもこの時期だと言われています。

諸説ありますが、男の子は一般的に女の子よりも体が弱く、5歳のこの時を過ぎてやっと一人前と認められるようです。

また7歳で乳歯が生え代わり、大人へ成長していく大きな変わり目を迎える時期で、女の子のから大人の女性になる帯解きと言う意味で7歳から帯を締めて着物を着る事をします。

このように発育してゆく上で病気にもなりやすく、様々な危険を伴う時期なので、健やかな成長を思うご両親の愛情表現として行うのが現代まで残っている七五三と言う行事なのですね。

*Wikipedia参考

ではなぜ、七五三が11月15日なのか?

調べてみると、下記のような3つの説がありましたのでご紹介します。

①太陰太陽歴と十二支説

まずは、15日という日にち。
旧暦(太陰太陽暦)時代の話ですから、15日は毎月ほぼ満月になります。
月満ちる満月の日に、大切な年齢儀礼を行いたいという思いがあったのでしょう。
それではなぜ11月かというと、旧暦の11月は、冬至を含む月と規定されています。
つまり、11月が一番最初に決まり、そこから新月を境にして次の月が決まっていくわけです。

また、年や日にちに十二支が割り当てられていますが、月にも同じように十二支が割り当てられています。
冬至を含む旧暦11月は毎年必ず「子のつまり十二支の最初の月が11月なのです。
子の月にやってくる満月の日が旧暦11月15日というわけです。


②鬼宿日と秋の実りの収穫祭の説

11月15日は「鬼宿日」にあたり、鬼が家にいる間に神社へお参りに行く習慣があったそうです。
また、旧暦の霜月(11月)の15日は各地で「収穫祭」があるように、その日に子どもの成長も祝ったとも言われています。


③数霊説

数霊的にも特別な日であると指摘する説もあります。
11、15をすべて足すと・・・1+1+1+5=8になります。
数霊8は、「大いなる発展・弥栄(いやさかえ)」を暗示する数。
これも子供達の行く末を案じた先人の気持ちの表れといえるでしょう。


このように、七五三は江戸時代に始まった行事であり、旧暦の数え歳で行うのが正式ですが、明治改暦以降は、新暦の11月15日も行われるようになりました。
現在では11月15日の前後1〜2カ月にあたる9月から12月初旬の土日祝日に行うことも多くなっていますが、北海道などの寒冷地では、時期を早めて10月15日に行うことが多いようです。

2018年の七五三人気ランキング

さてここまで読み進めいただいて
七五三の由来と11月15日になぜ行うのかが分かりました。

現代まで続いている根強い伝統にはこのような深い意味があったのですね!
改めて伝統の大切さを知ることができました!

そんな現代でも続いている七五三ですが、今人気の色や柄の傾向などを真奈武で契約してくださったお客様や関東中心に全国で注文を頂いているkimonoshopから現在の人気色情報を聞いて年代ごとにまとめてみました!

3歳男の子

《3歳男の子 七五三の言われ》

髪置の義 お祝い

初めて髪の毛を整える儀式。それまで剃っていた髪の毛を伸ばし始める。
3歳男の子の人気色は水色などの明るい色が人気。
柄の一番人気は鷹!!そして兜や熨斗などの一般的吉祥紋様が人気です。

ではなぜこのような柄が人気なのでしょうか?
調べていくと伝統柄には必ず良い意味があるようです。

その意味の解説をしていきたいと思います。


《柄解説》

■鷹
鷹についてまず注目されるのはその「眼」と「爪」。
鷹は大空高く舞い上がり、地上の小動物を見つけ獲物とします。
はるか先まで見渡せるその眼を千里眼になぞらえて「先を見通す眼力」、「もの事の本質を見抜く眼力」を持って欲しいという願いを、また獲物をがっちり掴むその爪は、運や幸運をしっかり掴んで離さないという意味を表しているそうです。
当時の男の子の大成とは立派な武士のようになる事と同じでしたので男(武士)と鷹は出世や権威の象徴として深い繋がりがあり、今日まで受け継がれてきたのではないでしょうか。


■兜
出世や大成を望まれてきましたが、もちろんそのためには丈夫で健康であることが前提です。
大事な頭部を守る兜は着物に描かれることにより、邪気や災厄からも男の子を守り、元気な成長を願うお守りとしての役目を果たすようになったようです。華な飾りのある兜は権威や地位の高い物にのみ許されます。
そんな兜を身に着けられるような人生を願い、大きく勇ましい兜が男の子の着物には描かれています。


■熨斗目
細長く帯状にしたもの描き「熨斗文」と呼ぶようになり、何本か重ねたものを「束ね熨斗」と呼んでいます。
たくさんの熨斗を束ねることから、多くの人たちから祝福を受けていること、また、その幸せを周囲の人たちと分かちあってほしいという意味になるそうです。
この文様は贈り物としての気持ちや、人と人との絆、繋がりを表し、その長さから長寿の象徴でもあるとてもおめでたい文様です。

御祝い事の式服には欠かせない柄で、お宮参りの着物には、
男女を問わずほとんどの物に使われ振袖や留袖、訪問着などにも数多く見られます。

5歳男の子

《5歳男の子 七五三の言われ》

袴着のお祝い

袴を履く正式な儀式。基盤の上に乗って袴を着付ける風習もあったそうです。
羽二重の五ツ紋付熨斗目模様又は色紋付の長着とそろいの羽織を合わせる。
下着は白羽二重の比翼仕立てにし袴は仙台平か塩瀬、羽二重。
最近の傾向は、青やグレーや白の上品さを感じられる色に加え、戦隊ものの色等がよく見られます。柄は三歳同様、鷹、兜に加え龍が人気だそうです。

五歳は三歳の時と違い、自分の意思が強い子も多く、親が選ぶというより、自分がなりたい物に染まるような傾向にあります。


《柄解説》

■龍
強く、たくましくと願う男の子の柄として最強の神獣である龍が選ばれるのは当然と言えば当然ですね。
元々は大地と水の神であるようですが、天に昇るその姿から出世や飛躍を願う意味もあるようです。
また、干支にも登場することから辰年生まれの男の子に縁起物としても選ばれることも多い柄です。

3歳女の子

《3歳女の子 七五三の言われ》

髪置の義お祝い

初めて髪の毛を整える儀式。それまで剃っていた髪の毛を伸ばし始める。
昔の生地や柄は、縮緬素材に総柄か無地などが主流で、七歳まで着られるように四ツ身仕立て(7歳用の大きさ)で購入して、三歳の時は肩上げ(着物を調節して)をして帯を結んで着せていたようです。

現代は、帯を結ばないで被布を着せるのが主流となってきています。
*3歳の男の子も被布を着る方が多くなってきていますね。

被布を着る時は、へこ帯結びをし被布を着せ、着物と被布を対にして紅白の被布飾りをつけるのがしきたりです。
最近の傾向は着物と被布の色を変えて合わせるもの好まれているようです。
また、人気のある柄は大きな菊や亀甲の物や子供の好きなウサギやハートなどのモチーフ柄が人気です。
色は毎年少しづつ変わってきますが、いつも人気な色は水色やピンクなど可愛らしいお色が人気です。

7歳女の子

《7歳女の子 七五三の言われ》

帯解きのお祝い

女の子が初めて帯を結ぶ儀式。
七歳になると紐付きの着物から正式な帯を締める着物になります。
帯を結び、初めて一人前と認められます。

3歳同様、人気色は毎年変わってきますが、赤やピンクや水色などが人気です。
柄は、大胆な大柄をお母さま方は好まれる傾向がありますが、本人は柄と言うより色で決めるのがほとんどです。

お着物の柄はみんな同じに見えてしまうのかもしれませんね。
ここで少し余談ですが、
お宮参り(うぶすなまいりとも言う)と七五三には慣例があります。

お宮参りは、妊娠5カ月くらいの安定期にはいると、赤ちゃんの健やかな成長と安産を神様に祈願しお参りする事ですが、そもそも昔は子供は産土神(うぶすなかみ)の子だと考えられていました。

つまり、神の子が仲間入りしたという事で「お祝いと大切に育てます。」という誓いの意味でもあったのです。

お参りに行く際、お母様が赤ちゃんの身にまとう初着の袖は、袖丈いっぱいに袖口が開いている「大名袖」になっており、上げ縫い目はありません。
先程の七五三の由来でも触れたように、昔は3歳まで生きられた・・・だからこそ、ここまで生きられたお祝いとして袖を閉じたそうです。

また、赤ちゃんが初めて身にまとう初着は5歳まで着られるようになっています。
これを、考えると昔の人は、その子の成長を願うと共に、氏神様への感謝を忘れなかったということがわかりますね。

撮影とお参りスポット

静岡市内の七五三お参り神社スポットをまとめました

葵区・・・護国神社、熊野神社、浅間神社

駿河区・・・伊河麻神社、八幡神社、久能山東照宮

清水区・・・三保神社、小芝神社、矢倉神社


写真撮影の前撮り率、当日撮り率まとめ

前撮り 62%  日焼けする前に撮影出来る。時間的な余裕が出来て、また違う衣装での撮影ができる

当日撮り 29%  一度で済む。2人兄弟だと下の子に合わせる、特に下の子が3歳だと着ていられる時間が短いため、時間との闘い!!

後撮り  9%  家族の予定で余裕のある日取り。わざと時期を外し着たい着物を着る

皆様、どうでしたか?

今までは「3歳になったから着物をきせて写真を撮らなきゃ」という感覚でしかなかった事が今回の考察により、私は七五三に対する考え方が大きく変わりました。

今は「3歳まで【無事】育てることができた!」
そのお祝いに子供に日本衣装を着させてあげよう。

そしてここまで育てあげる事ができた私へのご褒美に子供に着物を着させてこの子一番のかわいい笑顔を宝物として残そうと日本古来から伝わる伝統行事の意味を改めて知り、尚且つ今の時代に合うように、受け継がれているということの素晴らしさを感じました。

日本の伝統技法であしらう、柄や模様の一つ一つにも、深い意味があり、その思いを身にまとい願を込める、今も昔も変わらぬ親が子供に思う深い愛情と感謝だったんだという事。

本当に素敵なことだと思いました。


藤野・高橋